いつのまにか過ぎ去った桜の季節へ
『・・・それで先輩、 明日のことなんですけれど・・・ あの、先輩・・・聞いてますか、』
いつしか僕は、机の上の写真立てを眺めていた。それは、麻由の写真。麻由の記憶探しの手助けにと、僕が悲恋桜の前で撮ったものだった。
けれども写真は春が過ぎるたび、色褪せてゆく。 もしかすると、麻由の思い出も時とともに薄れてしまうんじゃないか、僕にはそのことが恐かった。
『先輩、』
そうして、僕はようやく麻美からの電話が続いていることを思い出した。適当な言い訳で謝った僕は、逃げ出すように、受話器を置いた。
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