いつのまにか過ぎ去った桜の季節へ
Epilogue.それからもう、咲哉の姿を見ることはなかった。 しばらく経ってから、僕は麻美と一緒に、咲哉とはじめて出会った板塀の屋敷を訪ねた。屋敷の主は一人暮らしのお婆さんで、突然なお願いにもかかわらず、快く庭へ入れてくれた。 庭の一番奥に、あの梅の樹があった。それはもうたいした老木で、お婆さんによると、花をつけるのは今年で最後だろうという話だった。 花もつけない桜並木に通っていた僕のことを、老木はいつも見ていたのかもしれない。 樹の前で二人きりになると、麻美は決意を込めた声でこう言った。 「私、先輩のことが好きです」 「・・・あれっ、まだ言ってなかったんだっけ」 「もう、先輩。そうですよ」 「ゴメン、」 「・・・」 「・・・僕も麻美のことが好きだ。だけど、改めて友達から始めるんじゃ、駄目だろうか。このままじゃ僕自身のことが許せないっていう、非道いわがままなんだけれど、」 僕は懺悔を込めて、頭を下げた。 「う~ん、友達ですか・・・いいですよ。じゃあ、今よりもっと仲良しになるってことで、手を打ちましょう」 そう言って抱きついてきた麻美を受け止めた僕の前に、はらり、と梅の花びらが一枚舞った。
梅の季節はもうお終いだった。
写真は色褪せてしまうけれど、時に流されない想いがある。
麻由のこと、『麻由』のこと、咲哉のこと、 |
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・・・忙しい毎日の生活の中、 「あの花びら、どこまで飛んでゆくんだろう」 高台から飛び立った桜は、遠い国の人々にまで届きそうで。 「そう、それでまた、誰かの新しい言葉になるんですよ、きっと」
Where have all the Flowers gone? |